思い込みは危ないと思った。
ここしばらく肩回りが痛く、腰も張る。トレーニングをしても強くなるという感覚がなく、現状維持もしくは緩やかな下降の状態が続いていた。少し調子がいいなと思って多めに登ると、筋が切れたり…。60歳を超えて、これらの状態は老化であると思っていた。長くクライミングやランニングを楽しむにはこの痛みとうまく付き合っていかなければ、体力の衰えは受け入れなければならないと考えていた。達観した自分に少し酔っている節もあったかも。そのうちとうとう両膝が痛くなり、山の下りが辛くなり、7月26日の富士登山競走はスタートラインには立ったが、出走は断念した。歩くのもかなりつらい状態。
しかしである、その後膝のMRIを撮るなどしたが、老化による変形はそれなりあるものの、痛みの原因は見当たらず。そこで私はふと思い至った。7年前、酷い痛風になり、5年間尿酸値を下げる薬を飲み続けた。その間、痛風の症状は1回も現れなかった。医者の提案で一度薬をやめてみるかと言われ、1年半以上薬を飲んでいない。もしかしてこの痛みや、不調は尿酸値が再び上がっているのではないだろうか。長いこと薬を飲んでいないと、自分が痛風持ちであることも忘れていた。で、自宅に残っていた薬を8月7日に1錠飲んでみた。
翌日、痛みは嘘みたいに軽くなった。もちろん完全に痛くなくなったわけではないが、この数か月の辛さはいったい何だったのか?と思うほど、関節が軽く楽になった。
もしも薬が家に残っていなければ、あの痛さを抱えたまますべてを老化のせいにして憂鬱な生活を続けていたかもしれない。老化という思い込みはあまり強く持ってはいけないと思った。自分はまだまだやれる。
この夏の経験を糧に体をいたわりながら鍛えて、クライミングやランニング、登山などをさらに楽しんでいこうと思う今日このごろである。